麦用機械を利用して高速作業
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米を生産するには、通常、育苗箱に種籾を播き、ビニールハウスの中で約10~30日間苗を育てます(育苗)。この苗を、水を張った田に植え付け(移植)、約2~3カ月間育てると、穂が出て花が咲きます。その後、約40日間かけてデンプンが籾殻の内側に詰め込まれると、米を収穫できるようになります。 ◆経営規模拡大に向けた課題今後の稲作経営では、農業に就く人が減り続けるため一層の規模拡大が進むと考えられます。しかし、限られた人数の作業者で大規模な面積で米を生産するには、育苗、移植などの春の作業が集中する時期の各作業の省略化が必要です。 ◆乾田直播栽培稲を育てるには、移植栽培のほか、種籾を田に直接播く方法(直播栽培)があります。直播栽培には、乾いた田に種籾を播く方法(乾田直播)と水を張った田に種籾を播く方法(湛水直播)とがあります。直播栽培の面積(2万6千ヘクタール)は稲全体の作付面積に比べると小さいものの、年々増加する傾向にあります。一般的に、直播栽培は移植栽培に比べ、育苗と移植を省けるため単位面積当たりの労働時間が削減されます。しかし、稲が倒れやすく、収量が下がってしまうことが課題となっています。 近年、農研機構・東北農業研究センターは、麦で使う播種機を稲の直播に利用する乾田直播栽培技術を開発しました。この技術は、高速作業が可能なため、単位面積当たりの作業時間を移植栽培に比べ半減することができる画期的なもので、現在、約1千ヘクタールで利用されています。また、同センターは、草丈が短く倒れにくく、直播栽培でも収量が高い良食味の品種「萌えみのり」を育成しました。 この乾田直播栽培技術と「萌えみのり」との組み合わせにより、収量が約2割増加し、直播技術の弱点も克服できます。今後、春の作業が集中する時期の作業の競合を緩和する技術として、経営規模拡大に伴い、利用される面積が一層拡大すると見込まれます。 プラウ耕による秋起こし (絵:筒井 博子) 全国農業新聞[外部リンク] 2016年3月25日に掲載されたものを再編集 |
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