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農林水産技術会議

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宮城県南部沿岸地域の水資源・未利用エネルギーを活用した中規模園芸生産システムの技術開発

実証地域
宮城県
分野
農業・農村
分類
個別要素技術型研究
代表機関
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究部門
参画研究機関
宮城県農業・園芸総合研究所、公立大学法人宮城大学、一般財団法人電力中央研究所、 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構食品研究部門
研究実施期間
平成24年度~平成26年度

1 研究の背景・課題

東北地方太平洋沖地震により津波によって浸水した地域では、地下水の塩水化が問題となっている。また、震災時は停電や断水、燃油不足等によって園芸施設の環境制御装置や灌水装置が停止し、作物に甚大な被害が及んだ。被災した園芸産地を再生する上で、地下水の除塩、省資源、低炭素等の技術の確立が重要である。本研究では、地中熱ヒートポンプ、高圧細霧冷房、省電力型循環扇等の高度環境制御技術、塩水化した地下水を淡水化するための逆浸透膜装置の現地実証試験を通じ、農村地域の水資源・未利用エネルギーを活用した園芸生産システムの確立を目指す。

2 研究の目標

  • 高度環境制御技術(ヒートポンプ、細霧冷房、循環扇)により施設の年間利用期間の1ヶ月増やす。
  • 暑熱対策用器具と作業着の組合わせを改良し、夏期の作業着の作業着下温度を5℃低下させる。
  • 秋冬期の園芸施設内の温度・湿度環境を最適制御するための送風設備を開発し、噴出し流量の不均一性を10%解消する。
  • ヒートポンプ暖房の環境・成績係数の測定法の確立及び植物内容成分に及ぼす影響を解明する。
  • 低コストな農業用逆浸透膜装置を開発し、水道使用量の6割以上削減及びマニュアルを作成する。

3 研究の内容

  • 地中熱源ヒートポンプの稼働試験および室内環境改善のための循環扇の制御手法を検討する。
  • 高圧細霧冷房等による施設内環境改善効果と農作業者の暑熱低減効果を測定・評価する。
  • 送風ダクトによる温室内部の流れを数値シミュレーション及び実験的手法により解析する。
  • 実証温室において、地中熱源および空気熱源ヒートポンプの成績係数測定手法を検討・構築する。
  • 農業用逆浸透膜装置を現地導入する際の課題抽出とその解決法を提案する。

4 研究成果概要

  • 宮城県岩沼市の現地実証温室に、高圧細霧冷房装置および地中熱ヒートポンプを設置し、稼働試験を行った(図1、2、3、4、5、6、7)。地中熱ヒートポンプは夜間を通して安定的に採熱し、室内機の吹き出しからは約40℃の温風を温室に供給した。地中熱源ヒートポンプの成績係数(COP)は、寒冷な東北地域においても3~4を維持し、優れた熱交換効率を示すことが確認された。
  • ファンと1本のダクトをモデル化し数値計算および実際の温室で送風試験を行った結果、ダクト端部の開放条件の調整が室内気流および温度斑の解消に寄与することを確認した(図8、9)。
  • キュウリの食味に影響するグルコースの含有量を簡易に測定する方法を開発した(図10)。
  • 農業用逆浸透膜装置(地下水の除塩装置)を試作し、1日当たり3m3、8m3、25m3の造水能力を有する低圧の装置を亘理町および岩沼市の実証温室に導入した。造水能力8m3の装置を6ヶ月間連続稼働した結果、逆浸透膜の目詰まり(スケーリング)により造水能力が約25%低下したが、膜を薬品洗浄することにより造水量が回復することを確認した(図11、12、13、14、15)。
  • 電気自動車からの独立電源で稼働する可搬型農業用逆浸透膜装置を開発した(図16)。

この研究についてのお問い合わせ先

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

問い合わせ先:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農村工学研究部門)

TEL:029-838-7655

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パンフレット

農業・農村
宮城県
宮城県南部沿岸地域の水資源・未利用エネルギーを活用した 中規模園芸生産システムの技術開発

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お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究推進課

担当者:先端技術実証班 豊井、宮垣、上田
代表:03-3502-8111(内線5897)
ダイヤルイン:03-3502-7462
FAX番号:03-3593-2209

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