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農林水産技術会議

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若手農林水産研究者表彰

平成18年度(第2回)業績概要

フタスジヒメハムシ幼虫による大豆根粒食害の解明とその対策技術の開発

受賞者:武井 真理氏 38歳

愛知県農業総合試験場 主任研究員

略歴

平成3年神戸大学農学部学士卒、同年愛知県豊田農業改良普及所、平成6年から農業総合試験場勤務。

業績概要

主な業績

愛知県においては、大豆は水田転作の主作物であり農家経営の大きな柱となっているが、反収が全国平均より2割程度低く、営農現場からは低収の要因を解明して、収量を改善することが求められていた。
本研究では、まず、実際に大豆が栽培されている数百に及ぶ農家圃場を継続的に調査して、大豆低収の一因が、フタスジヒメハムシの根粒食害であることを明らかにした。つぎに、その対策技術として、播種と同時に種子の近傍に施薬する「播種溝条施」技術を開発した。そして、本技術によって、フタスジヒメハムシの発生が抑制され、増収することを複数の農家圃場実験で確認した。
本技術は、低コストで容易に導入が可能であり、増収の効果が確実に認められることから、愛知県では2000haにまで急速に普及が拡大している。今後は、愛知県のみならず、同様の摂食被害が見られる各地域に広く普及することが期待されている。
本研究は、低収要因の調査分析から改善技術の開発まで、一貫して現場においてコストと実用性を評価基準とし、農家および関係機関と一体的に研究を進めることによって、対策技術が迅速に普及しえることを実証したものであり、作物の栽培研究を普及・実用化に迅速に繋げるための新たな切り口を示したものである。

背景

大豆は水田転作の主作物であり、農家経営の大きな柱となっている
大規模営農による転作大豆の収量水準が低く、低収要因の解明が求められている

研究内容・成果


水田転作大豆の低収要因の解明と収量改善の実現

被害の実態と開発技術の効果が現場で農家に直接評価され、開発した防除技術は急速に普及している

作物の栽培分野における合理的研究手法

本研究成果の急速な普及拡大は、現場解決型研究が作物栽培研究分野の画期的な手法であることを証明した

主要論文・特許

「フタスジヒメハムシによるダイズ根粒被害の実態と防除」, 愛知県農業総合試験場研究報告,34, 31-36 (2002)

「フタスジヒメハムシ幼虫によるダイズ根粒摂食被害と防除法の開発」, 農業及び園芸, 78,491-497 (2003)

受賞評価のポイント

本研究業績は、大豆の低収の一因がフタスジヒメハムシ幼虫の根粒食害にあることを大規模な現地調査で明らかにし、播種同時施薬による低コスト防除技術を開発することで収量改善技術として普及につなげたもので、明確な問題設定と体系的な取り組みが功を奏した点が評価できる。本成果は、同様の被害のある地域への技術導入が進むことが期待される。

連絡先

愛知県農業総合試験場

〒480-1193 愛知県愛知郡長久手町大字岩作字三ヶ峯1-1

TEL: 0561-62-0085

お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究調整課

代表:03-3502-8111(内線5810)
ダイヤルイン:03-3502-7399
FAX番号:03-5511-8622