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農林水産技術会議

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令和5年度第8回農林水産技術会議の概要

1.日時

令和6年2月27日(火曜日)14時00分~15時40分

2.場所

農林水産技術会議委員室

3.出席者

【農林水産技術会議】
本川会長、北岡委員、小松委員、瀧澤委員、内藤委員、二宮委員、松田委員
【農林水産技術会議事務局】
内田研究総務官、東野研究総務官、今野研究調整課長、羽子田研究企画課長 他
【国立研究開発法人】
白谷農研機構理事、小山国際農研理事長

4.議題

(1)スタートアップ支援、産学連携について
(2)「みどりの食料システム戦略」に基づく取組の進捗状況

5.概要

(1)スタートアップ支援、産学連携について
事務局から、農林水産・食品分野のスタートアップ育成について、及び「知」の集積と活用の場によるイノベーションの創出にについて説明した。これに対し、委員から以下の意見があった。

1)海外のSBIRを見ると、管理評価をしっかりしているわけではなく、成果につながる項目をいつまでに達成できるか程度の確認であり、管理評価を締め付けるのではなく成果につながる項目で見るべき。

2)大口の企業に関心を持ってもらい、スタートアップ企業も大企業にアプローチしていかないと、小さなお金でしか研究が回らず、結果として農業分野にお金が入ってこない。目線を高く、

3)日本のスタートアップ企業の5年生存率は他国に比べて低いと聞いたことがあり、線損率を上げるための要員を探るべき。

4)農業分野の技術開発は時間がかかるが、フェーズ0の支援期間2年というのは短く、柔軟に対応しなければ成果が出づらいと考えられる。

5)がん治療分野は日本が先発であったが、現在となっては海外が先行している。会議ばかりしていても何も生まれないので、管理面で締め付けずに進めてもらいたい。

6)「知」の集積と活用の場によるイノベーションの創出について、それぞれの成果が今一歩実用化につながっていないので、成果の出そうなものをしっかり育てる戦略が必要。

7)農業分野においては、現場から発想が生まれ、現場に答えを返すというやり取りが必要であり、現場に足が付いているような、地方に軸足を置いて活躍していこうという企業に対して積極的に支援していくことが重要。またそのような企業を支援することで、地方の活性化につながると考えられる。

8)研究部門と管理部門が分かれているような企業はいいが、研究者が管理部門も兼務されている場合は、研究者が一人で抱え込むこととなり、また優秀であれば多くのプロジェクトに参加するため、管理への対応でボロボロになってしまうので配慮が必要。

9)アレルギーを持つ人が増えているので、アレルギーを低減できるような食べ物が増えるような研究に期待。

10)地域課題の解決に向けたプロジェクトとは別に、世界共通の課題解決に向けたプロジェクトが弱いように考えられる。世界共通の課題解決に向けて、日本は後発になる可能性が高いので、戦略的に進めなければ良い技術開発を行ったとしてもガラパゴス化してしまう恐れがある。

(2)「みどりの食料システム戦略」に基づく取組の進捗状況
事務局から、「みどりの食料システム戦略」に基づく取組の進捗状況を複数回に分けて報告していくこととして、(1)化学農薬使用量の低減、及び(2)化学肥料使用量の低減について説明した。これに対し、委員から以下の意見があった。

1)KPIの管理については、それぞれがリンクして最終目標を達成するものだが、普及運動等によって現在の技術レベルでも達成できるものと、現状では達成できないのでギャップを埋めるための技術開発が必要なものといった整理をして議論していくべき。

2)普及を行う場合、誰が普及するのかという視点が必要。県単位でも目標達成を目指すのか、農家個人個人での目標達成を目指すのかでレベル感が変わってくる。

3)全品目で化学農薬の低減を目指すというよりも、栽培面積の多い水稲や、元々農薬使用量の多い野菜において使用量を低減させるような技術開発を目指すことが重要。農薬の登録見直しによって、農家が使いやすい薬剤が失われていく中、総合防除のみでは対抗しきれなくなるのではないかと懸念。特にマイナー作物に使用できる農薬が減少しているので、一律での使用量低減を目指すとマイナー作物の農家を中心に対応できなくなる恐れがある。

4)化学肥料の低減に向けて、土壌診断に加え、作物栄養診断も考えていただきたい。

以上