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農林水産技術会議

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令和4年度第10回農林水産技術会議の概要

1.日時

令和5年3月22日(水曜日)14時00分~15時30分

2.場所

農林水産技術会議委員室及びオンライン開催

3.出席者

【農林水産技術会議】
小林会長、小松委員、瀧澤委員、内藤委員、二宮委員、松田委員
【農林水産技術会議事務局】
山田研究総務官、中澤研究総務官 他
【国立研究開発法人】
中谷農研機構副理事長、勝田農研機構理事、山本国際農研理事

4.議題

(1)農林水産研究イノベーション戦略2023について
(2)福島国際研究教育機構について
(3)アジアモンスーン地域応用促進事業について

5.概要

(1)農林水産研究イノベーション戦略2023について
事務局から、農林水産研究イノベーション戦略2023案について説明した。これに対し、委員から以下の意見があった。
戦略案の修正については会長に一任され、事務局にて必要な確認を行った上で4月以降に公表する予定としている。

1)みどりの食料システム戦略を市町村レベルで取り組んでいく段階になれば、裏付けとなる技術の普及が求められる。「みどりの食料システム戦略」が重点分野の最初に位置付けられるのは良いことであり、研究成果が早期に現場実装されることが重要。

2)みどりの食料システム戦略は、中長期の目標として重要な方向性であり、生産側にも消費側にもしっかり認知してもらう必要がある。それぞれの階層で戦略の実現に尽力した人たちを毎年表彰するような仕組みを検討してどうか。

3)「農業におけるカーボンニュートラルへの貢献」について、生産過程で生じるGHGの問題や土壌への炭素貯留について、農家の協力を得られるよう、わかりやすい情報発信が大事。

4)農業系の研究は非常に時間がかかるものであり、今注目されている「BNI強化コムギ」も、20年以上前から地道に取り組まれてきた成果。このような基礎的な研究の重要性について戦略に記載したことは、研究者へのメッセージにもなり、継続的に支援していただきたい。

5)研究開発のスピード感が求められるが、農業は季節性があり、使えるデータをきちんと整理するには時間がかかるということを認識してもらう必要がある。)

6)植物工場は産業的にはこれからの分野であるが、世界的にも非常に注目されている。エネルギーを除けば、閉鎖系で完結する仕組であり、食料供給基地としての植物工場について、知見を蓄積していくとともに、軟弱野菜の次のステップを考えていくべきではないか。

7)新しい技術の研究開発に当たっては、背景等を国民に理解してもらう必要があり、「先端技術に対する理解の増進」は非常に重要。

8)海外では「持続可能で健康な食」が非常に注目されている。日本は関係省庁が複数にまたがっているが、農水省も積極的に取り組んでいただきたい。

9)長寿には、25歳から50歳位のライフスタイル(何を食べてどんな運動をしているのか)が極めて重要であることがわかってきている。都会で働いている人の栄養状態や微量元素が欠けている要因が何か、もう少し調べる必要がある。

10)多くの人がコンビニを利用している現状を見ると、コンビニが健康な食の提供に果たす役割は非常に重要だと考えている。

11)弁当は容器に制限もあり、野菜を入れるとコストが高くなり売れにくくなる。国民の健康という視点で、工夫することはできないか。

12)持続可能な食品・食材のリスト化について、国民の行動変容を促すには「機能性リスト」の発信だけで終わらせるだけでなく、食事の形で示すことが重要。

13)米国が微生物分野に強いのは、1980年代から進めていた腸内細菌等のヒト・マイクロバイオーム研究が成果を上げ、その流れが植物にも波及しているものと考える。ムーンショットでも根圏微生物の解析を進めているが、研究速度を上げる必要がある。

[研究機関からの意見]
14)ネットを使った広報活動はそれなりの実績が積み上がってきており、例えば、メタバース上で研究成果の報告会を行ったが、非常に評判が良かった。このようなチャンネルも使いながら、国民理解を得られるよう進めていきたい。

15) NARO Style弁当(機能性農産物を組み合わせた「機能性弁当」)について、冷凍品をECサイトでテスト販売していいただいている。コンビニとの連携も非常に重要と認識、との補足説明があった。


(2)福島国際研究教育機構について
事務局から4月設立予定の福島国際研究教育機構について説明した。これに対し、委員から以下の意見があった。

1)農林水産業だけでなく、ロボット、エネルギー、放射線科学・創薬医療、放射線の産業利用、原子力災害に関するデータや知見の集積・発信など幅広い分野で研究開発が行われていくことから、こういった異分野との連携も進めてもらいたい。


(3)アジアモンスーン地域応用促進事業について
事務局からアジアモンスーン地域応用促進事業について説明した。これに対し、委員から以下の意見があった。

1)以前ある国際機関がまとめたデータベースに、水稲策のデータが抜けていたことがあった。EUのfarm to fork戦略に無い視点である水稲作など、欧米主導だけでなく、日本が前に出ていくことは非常に良いこと。

2)AWD(間断かんがい)について、水管理をするには施設とセットで考える必要があり、応用研究に当たっては、この点にも留意して進めて欲しい。

3)地方公設試の研究者は、国際的な広い視野で取り組む機会が限られているが、知事などはこのような連携には好意的だと思う。資質向上の観点からも、いろいろな機会を提供して欲しい。

4)食品の様々な機能性に関する研究は、従前は韓国がかなり進んでおり、近年縮小した。二国間の状況次第だが、韓国との協力関係構築も重要。

[研究機関からの意見]
5)韓国のRDA(農村振興庁)とスマート農業の推進について意見交換を行ったところであり、農業の状況が欧米と大きく異なるアジアモンスーン地域において、韓国は重要な関係国。例えば農機の規格など、欧米サイズのルールではアジアに適さない場合もあり得る等考えられ、ルールメーキングに向け協力していきたい。

6)国際的な研究プラットフォームが続々と立ち上げられており、様々なチャンネルを使って、日本の技術をアピールしていきたい。

7)機能性食品について、新しい分野の研究として基礎研究に取り組んでいるところ。各国の興味の深い分野だと思うので、情報発信も積極的に行っていく考え、との説明があった。

以上

お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究調整課総括班

代表:03-3502-8111(内線5810)
ダイヤルイン:03-3502-7399