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農林水産技術会議

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令和4年度第8回農林水産技術会議の概要

1.日時

令和5年1月31日(火曜日)14時00分~15時45分

2.場所

農林水産技術会議委員室及びオンライン開催

3.出席者

【農林水産技術会議】
小林会長、北岡委員、小松委員、瀧澤委員、内藤委員、二宮委員、松田委員
【農林水産技術会議事務局】
川合局長、山田研究総務官、中澤研究総務官  他
【国立研究開発法人】
中谷農研機構副理事長、小山国際農研理事長

4.議題

(1)令和5年度予算概算決定について
(2)食料・農業・農村基本法の検証・見直し検討について(食料安定供給のための生産性向上・技術開発)
(3)農林水産研究イノベーション戦略2023について

5.概要

(1)令和5年度予算概算決定について
事務局から、令和5年度農林水産関係予算の概要及び令和5年度予算概算決定の概要(農林水産技術会議事務局)について説明した。これに対し、委員から以下の意見があった。

  1. ムーンショット型研究開発事業について、長期的な視点で目標が設定され、医学の分野も含め様々な取り組みがなされてきたと思うが、最近は社会実装を前提とした内容に変わってきている印象。農林水産分野はどのような方針で取り組んでいくのか。
  2. 品種開発の関連で、マーケットインによる海外での販売力強化に23億円が計上されており、以前より支援が手厚くなってきたと感じている。他方、民間の事例ではあるが、海外ではリンゴの新品種について商標権を確立した後、10億円規模のマーケティング調査を専門機関に委託するなどの取組もあり、参考にしてほしい。
  3. 10兆円規模の大学ファンドの創設、経産省のシード段階における支援(STS)の強化など、農水省の技術開発予算に比べ桁違いの額の予算が国全体で動いている。この流れにのり、農業分野も他省庁予算との連動を本格的に考えていく必要があるのではないか。農業分野に優秀な研究者を呼び込むことが非常に重要であり、農水省の単独予算だけで世界と戦うのは厳しいのではないか。
  4. 内閣府をはじめとする他府省の予算を活用した研究開発は既に行われているが、農水省単独予算との関係性など、農業、食料関係の全体の体系の中でどのように連携して研究開発が進められているのか。

(2)食料・農業・農村基本法の検証・見直し検討について(食料安定供給のための生産性向上・技術開発)
事務局から、食料・農業・農村基本法の検証・見直し検討の状況として食料・農業・農村をめぐる情勢の変化(食料安定供給のための生産性向上・技術開発)※について説明した。これに対し、委員及び国研から以下の意見があった。
食料・農業・農村政策審議会基本法検証部会第6回資料(令和4年12月23日開催)

  1. 日本の土地生産性は諸外国を大きく下回っている。様々な要因があると思うが、個々の品目について日本としてどうしたいのかを考える必要がある。技術開発だけでなく、農業そのものの構造的課題、投資面での課題等色々な要素が絡み合っており、中長期的な目標を定めたうえで今何をすべきか考えていかないと、単にデータを整理しただけで終わってしまう。
  2. 農業分野を再構築・発展させるには、人と資金をどうやって確保するかが重要と考える。企業の優秀な研究者を呼び込まないと、研究分野の維持すらできない、そのような問題意識のもと、産総研では、所内に設置する冠ラボや、大学等のキャンパス内に設置する産学官連携研究拠点「オープンイノベーションラボラトリ(OIL)」の整備に取り組んできた経緯がある。
  3. 今は優秀な研究者を確保することが本当に難しく、人の奪い合いが激しくなっている。各国では、人材確保のために農業分野に資金を投入し、人の誘致もし、民間も活性化していることからも、政府全体としてスタートアップ支援に多額の予算を計上するなか、農水省としてどのように絡んでいくのか考えていく必要がある。
  4. 品種開発について、中国が登録出願数を大きく伸ばしている。品種開発は非常に長い時間が必要だが、これだけのスピードで伸びているのはどのような理由か。
  5. (研究機関から上記質問に対し、)サツマイモ育種の場合、種を30万粒まいて新しい品種が1つできる計算であり、この比率は各国で大差ない。ただし、中国は多額の資金を投入し、大きなほ場で多くの人手をかけ、日本よりも相当効率的な選抜を行っていると聞いており、審査は、ピンポイントの実用的な基準が示されていて、日本に比べるとスピード感もあり、戦略的に品種開発を推進している印象。

(3)農林水産研究イノベーション戦略2023について
事務局から、農林水産研究イノベーション戦略2023の概要について説明した。これに対し、委員から以下の意見があった。

  1. 進んでいる分野は各国の最先端の動きをよく把握しており、非常に戦略的な研究を行っている。農業分野でも戦略的な研究開発が必要。
  2. 知的財産マネジメントと国際標準化、異分野連携など、いろいろなテーマが示されているが、本当に実効性のある取組にしていかなければならない時期に来ているのではないか。
  3. 異分野を含めた人材確保は非常に重要。農水省単独でということではなく、大学、研究機関も含めて今後の体制を考えていかないと、どんなに優れた戦略を作っても実行が困難になってしまう。
  4. 大学では、医工連携が20年前から行われており、最近は核物理学と医学の連携なども行われている。他大学との連携も始まっている。
  5. 食料問題は日本国民全体の関心が高く、学生や若者も農業分野に興味を持っているが、アクセスポイントがないというのが課題だと思う。農業分野への人材流入には、人材の流動性や異分野連携を深化が必要。
  6. 農研機構との人事交流や依頼研究員制度は公設試の研究員の資質向上に非常に重要。他方、海外の研究者から見れば、この狭い日本で各県がリンゴの育種を個別に行っている状況は考えられないことだと思うので、公設試のスクラップアンドビルドも含めた思い切った検討が必要ではないか。
  7. 食品科学や農学の世界に、医学の知識を有する者が少ないと感じる。国民のニーズを捉え、食の安全、長寿をキーワードとして、例えば「国民の健康や長寿を目指した安全で機能のある食」テーマに一大プロジェクトを行ってはどうか。
  8. 食と健康について、食品が有する機能性も踏まえて料理レベルにどうやって落とし込めるか、というところを考えていきたい。

    (研究機関からの意見)
  9. 人材の多様化について、最近は工学部からの採用を行っており、改善が図られている。医学部等からの採用については、今後の課題と認識。
  10. 基本法の第29条も重要だが、第20条:国際協力の推進の観点も当センターには重要。
    また、人材確保は非常に重要であり、研究分野を特定しない採用を積極的に行っている、などの意見があった。

以上

お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究調整課総括班

代表:03-3502-8111(内線5810)
ダイヤルイン:03-3502-7399