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農林水産技術会議

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令和4年度第7回農林水産技術会議の概要

1.日時

令和4年11月29日(火曜日)10時00分~11時35分

2.場所

農林水産技術会議委員室及びオンライン開催

3.出席者

【農林水産技術会議】
小林会長、北岡委員、小松委員、瀧澤委員、内藤委員、松田委員
【農林水産技術会議事務局】
山田研究総務官、中澤研究総務官  他
【国立研究開発法人】
白谷農研機構理事、山本国際農研理事

4.議事

(1)農林水産研究イノベーション戦略2023について(策定に向けた視点等)
(2)みどりの品種育成方針について(取りまとめに向けた議論)
(3)令和4年度第2次補正予算について

5.概要

(1)農林水産研究イノベーション戦略2023について(策定に当たっての視点等)
事務局から、農林水産研究イノベーション戦略2023の策定に向けて現在検討している視点等について説明した。これに対し、委員から以下の意見があった。

【重点研究分野1(みどりの食料システム戦略)】

  1. みどりの食料システム戦略の実現に向けた研究開発の推進が先頭に来るのは必然的な流れ。食料安全保障への関心の高まりを踏まえ、重点研究分野として何をどのように位置付ける十分な検討が必要。
  2. 植物工場について、最近では穀類の生産も試みられる等、世界的に非常に注目されている。
  3. みどり戦略は2050年に向け中長期目標を掲げているが、イノベ戦略2023が掲げる研究開発の方向性とどのような関係にあるのか。

    【重点研究分野2(スマート農林水産業)】

  4. スマート農業について、圧倒的に開発人材が不足しており、開発人材の育成が急務。
  5. 本質的な課題は短期間で変わるものではないので、スマート農業等のキーワードを押さえつつ、継続的に検討していくことが重要。

    【重点研究分野3(持続可能で健康な食)】

  6. 「持続可能で健康な食」をテーマとする検討会を作り、意見交換を行っているところ。「持続可能で健康な食」については、WHOとFAOが2020年に発表した「SUSTAINABLE HEALTHY DIETS」というガイドラインがある。まずは、「持続可能で健康な食」とは何か、考え方、概念を委員と共有する必要があると感じており、その上で、科学技術での貢献についても議論していきたい。
  7. 食は毎日のことであり、シンプルな組合せで良いと考えている。スマートミール(健康に資する要素を含む栄養バランスのとれた食事)のようなものではなく、日々の食べ方を示したい。例えば、地産地消で旬の食材や機能性の高い食材を取り入れることができれば良いが、農作物に関する様々な研究成果を生産者に普及し、消費者理解を得ることが重要。
  8. 安全で高品質なものを作るには相応のコストがかかる。燃料や資材価格が高騰する中、適正な価格で国産の安全で高品質な食材を提供することが重要。

    【重点研究分野4(バイオ研究)】

  9. バイオ産業は世界的に市場が拡大しており、日本のバイオ産業拡大のためにどのような研究開発が必要かという視点が必要ではないか。
  10. 農林水産資源を活用し、他省庁とも協力して新たな産業を創出するようなことも記載してはどうか。
  11. 最近、多くの民間企業が農業分野に参入してきている。既存の農林水産業の枠に収まらない部分にチャンスがあるからであり、そういった分野への支援も必要ではないか。

    【研究開発環境の整備】

  12. 育種基盤の整備をしっかり進めるべき。日本固有の状況に応じた基盤整備を進めていく必要があり、ロボットトラクタやドローンだけでなく、アシストスーツやAI等の活用も重要。
  13. スタートアップについて、支援するというよりも農業分野にスタートアップを引き込むという表現にしてはどうか。農業者がスタートアップを作る必要はなく、既存のスタートアップとの連携・協調によって大きな産業・市場にしていく、ということではないか。
  14. 人材育成について、特に子供をターゲットとした情報発信の工夫が必要。例えば、科学館や地元の社会科見学などを活用してはどうか。

(2)みどりの品種育成方針について(取りまとめに向けた議論)
事務局から、みどりの品種育成方針案について説明した。これに対し、委員から以下の意見、質問があった。方針案の修正については会長に一任され、事務局にて必要な確認を行ったうえで公表する予定としている。

  1. 地方公設試では、産地間競争に勝つべく、食味や外観に偏重した育種が行われ、収量性や耐病虫性といった基本的性能に対しての育種が後回しにされてきたと認識。本方針は、公設試の育種担当にとって、今後の方向性を示すよい内容になっている。知的財産の活用についても、世界に目を向けた内容になっており、評価したい。
  2. 苦労して開発した品種をどう活用するかが非常に重要。国内だけではなく、世界市場を見据えどうやって輸出に結びつけていくのか、知的財産の保護、活用の視点も含め、全体像を示してはどうか。
  3. 民間企業の参入も重要。海外では、育種に投資するモデルもでき始めていると聞く。
  4. 開発された高付加価値な農産物を、消費者が理解し、健康のためにこれを選択することが重要。新しい品種をどうやって市場に導入していくか、技術開発に要した費用、導入コスト等をどう価格に転嫁するかも含め、新しい支援の在り方を検討する必要がある。
  5. 本方針は、育種の研究者だけではなく、地方の行政官も含め、広く周知して欲しい。
  6. スマート育種基盤について、遺伝情報だけでなく生育関係の情報も入れることで、品種開発のスピードを上げることができるのではないか。
  7. 本方針とスマート育種基盤の関係性はどうなっているのか。
  8. アミド系除草剤である「プロピザミド」について、人間の消化管に悪影響を与えるとのレポートがNatureに掲載されている。日本では食品安全委員会の承認を得ているが、農作物の安全性評価はきちんと行われているのか。

    (研究機関からの意見)
  9. 外部資金も使いながら育種基盤の開発を進めている。具体的には、情報基盤(ゲノム情報や形質情報)の整備に加え、フェノタイピングなどのハード面での基盤を整備しており、産学官が有効に使えるよう作り上げていきたい。引き続き、みどりの食料システム戦略の実現に向けしっかり取り組んでいく、などの意見があった。

(3)令和4年度第2次補正予算について
事務局から、物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策及び令和4年度農林水産関係第2次補正予算の概要について説明した。これに対し、委員から以下の意見、質問があった。

  1. 若手に1000万円を上限に支援するアグリ・スタートアップ創出強化対策は非常に良い事業だと思うが、若者のアイデアを広く募集し、採択する仕組みにして欲しい。
  2. スタートアップについて、立ち上げることだけに意識が行きがちだが、実証の場を用意するなど育てる視点も重要。大学でも、研究開発には熱心だが、実際にそれをどこでどう使うのかという視点が欠けている。アメリカではSBIRなどで実証の場に資金がどんどん流れている。
  3. 下水汚泥の利活用について、普及がなかなか進まない理由として、安全性に関する懸念もあるかと思う。取組の初期段階から、特に消費者とのリスクコミュニケーションが重要だと考える。
  4. 子ども食堂への支援について、具体的にどのような内容か。

以上

お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究調整課総括班

代表:03-3502-8111(内線5810)
ダイヤルイン:03-3502-7399