このページの本文へ移動

農林水産技術会議

メニュー

令和4年度第2回農林水産技術会議の概要

1.日時

  令和4年5月24日(火曜日)14時00分~16時10分

2.場所

  農林水産技術会議委員室及びオンライン開催

3.出席者

【農林水産技術会議】
小林会長、北岡委員、小松委員、瀧澤委員、内藤委員、二宮委員、松田委員

【農林水産技術会議事務局】
青山技術総括審議官兼農林水産技術会議事務局長、山田研究総務官、山口研究総務官 他

【国立研究開発法人】
白谷農研機構理事、小山国際農研理事長

4.議事

(1)令和5年度概算要求の方針について
(2)麦・大豆の生産をめぐる動向について
(3)みどりの食料システム戦略の推進について(KPIに即した研究開発の方向(有機農業))
(4)デジタル庁が定める情報システムの基本方針を踏まえた国研中長期目標の変更について

5.概要

冒頭、本会議で議論してきた「農林水産研究イノベーション戦略2022」を本日公表した旨、事務局より報告した。

(1)令和5年度概算要求の方針について
・事務局から、農林水産技術会議における令和5年度概算要求の方針について説明した。これに対し、委員から以下の意見があった。
1)スタートアップ支援について、非常によい考え。最近、JSTでもスタートアップに対する支援体制が強化された。スタートアップ支援といってもいろいろなやり方があり、農水省ならではの工夫を期待。
2)スタートアップ支援について、昨年度はどのようなテーマが採択されたのか。ビジネスだけでなく、社会課題を解決する意味合いも大事。例えば、温暖化の影響などにより水産業は大きな打撃を受けているが、なかなか課題解決に向かわない現状があり、少しでも成功例が出てくればと思う。
3)スタートアップ支援について、若い人の新たな取組も増えてはいるが、やはり農協依存で昔ながらの取組をしている方が多く、地域発ということを考えれば、農協がスタートアップにどう取り組んでいくかが重要。
4)専門技術員制度がなくなり普及指導員が一般農政と同じような仕事を担当するようになったため、コーディネートと技術専門の両方をできる人が少なくなってきていることが、県の課題の一つ。
5)日本工学アカデミーの提言書に、「風土を変える」というキーワードが書かれていた。スタートアップ支援には様々なものがあるが、結局、それを醸成する風土、土壌がないと、若者も参画しないし人も育たないと感じている。NEDOのTSCで、地域のエネルギーシステムについて議論があったが、再生可能エネルギー利用に対する強い思いが地域にないと、結果的にコスト比較で普通の電力を採用することになってしまうし、中小企業のデジタル化に関する議論においても、中小企業のトップにデジタル化を進めていくという強い気持ちがないと、なかなか進まないという話があった。農林水産業においても同様で、スタートアップ支援は必要だが、一方で、政策的にどう風土改革を進めるのか考えていく必要があるの
6)知の集積について、多くのプラットフォームがあるが、農林水産省として研究の方向性を決めても、それとは異なるコンソーシアムが採択されているように感じる。政府の方向性に沿った課題設定、議論する場(プラットフォーム)が必要ではないか。

(2)麦・大豆の生産をめぐる動向について
・事務局から、麦・大豆の生産をめぐる動向について説明した。これに対し、委員から以下の意見があった。
1)品種開発に意義を持たせる前提として、米から麦・大豆への転換を図っていく必要があるのではないか。イノベーションというのは、技術開発だけではなく、風土改革や周辺環境整備などを前提に動いているわけで、風土改革ができないのであれば、そもそも品種開発する意味があるのか。
2)麦・大豆の生産が増えない要因としては、政策的に補助もしていることから、所得の問題ではなく、高収量の品種がないとか、田の土壌改良をしないと収量が確保できないということなのか。
3)小麦は外国産に対して価格競争力がないため増産されないと思っていたが、近年は日本産の方が安いことに驚いた。価格競争力はあるが、農家が小麦を作ろうとしないのは、収入につながらないからか。品種開発により、増産に向けて改善されることはあるのか。
4)品種開発によって、外国産のASWにも負けない品質の小麦が開発されてきたことは事実。一方で、土地条件について、水田の汎用化、排水対策はこれまでも行われてきているが、どの程度整備が進んでいるのか。また、汎用化・排水対策により、どれだけ収量が上がるのか等を整理した上で、品種開発も進めていくというつながりを考えていくべきではないか。データがあれば示してほしい。
5)第4次食育推進計画において、「産地や生産者を意識して農林水産物・食品を選ぶ国民を増やす」という目標が掲げられており、目標達成のためにも、品種開発による国産増産をお願いする。
6)米離れが進み、小麦の消費が増えているが、米と比べた小麦の栄養学的な評価を教えてほしい。米も小麦も、精製したものではなく、全粒穀類を摂取する方が健康に良いと考える。なお、米も小麦も植物性タンパク質であり、動物性と比べれば、体づくりに貢献する必須アミノ酸であるリシンが少ないので、良質タンパク質とは言えない。機能的に植物性が劣っているということではなく、米や納豆や肉などいろいろなものを食べることでアミノ酸のバランスが改善される。
7)大豆の生産努力目標について、21万t(H30)から34万t(R12)に増やす目標が掲げられているが、どのように目標値を設定したのか。品種開発、スマート化を含めた栽培技術、土地改良、農地面積等の積み上げで作って目標としているのか。また、制約ある国土面積、農地面積の中で、最終的に麦・大豆の自給率をどこまで上げるかという見当はされているのか。

(3)みどりの食料システム戦略の推進について(KPIに即した研究開発の方向(有機農業))
・事務局から、みどりの食料システム戦略の推進(KPIに即した研究開発の方向(有機農業))について説明した。これに対し、委員から以下の意見があった。
1)2050年を見据え、有機農業の取組面積を現状の1%以下から2050年に25%に拡大することは、生産から流通、消費まで含め、世の中の様相を変えるテーマ。生産、流通、消費を含めた課題設定を行い、諸外国の状況を把握しながら議論していくことが重要。
2)KPI達成に向け、現実問題として、粛々と取り組めば解決できる部分と、革新的技術が必要な部分を明確にして、マイルストーン管理をする必要がある。
3)みどりの食料システム戦略の中で、有機に関するKPIが一番チャレンジングで、様々な意見が出るなど、非常に関心が高まっている。開発された技術もいろいろあるので、できるところからどんどん先行して取り組み、ぜひ実現していただきたい。
4)2030年から2050年の上昇部分について、例えば中間評価を行い、目標を再設定することもあり得るのか。
5)有機農業の目標について、地元農協では葉物を主に扱っているが、有機へのシフトは難しいとの認識。試験場関係者に話を聞くと、果樹の有機はまだまだ難しく、環境保全・減肥・減農薬で一定程度貢献できるかという状況。有機農業に一番取り組みやすいのは水稲であり、まずは水稲でボトルネックになっている課題に対する技術開発を進める必要。その意味で説明のあった両正条植田植え機の取組は大事。茶や野菜については、作目ごとにボトルネックとなる課題を明確化する必要。できるところから有機農業の取組を進めてほしい。
6)病害虫に対するピンポイント防除の例が示されているが、農薬削減に関する技術についてはまだ選択肢が少ない印象。害虫対策として、どのような技術を開発しておくべきか、考えがあれば教えてほしい。
7)生物多様性の観点も重要。周辺環境に対する影響について懸念のあるネオニコチノイドに代わる技術開発は行われるのか。
8)EUでは、どんな餌で牛が育ったかなど、有機性たい肥の供給源まで含めて考えられているが、日本ではどのような議論が行われているのか。あるいは将来的に、みどりの食料システム戦略に含められるのか。
9)EUでは、畜産でも有機の取組がある。EUは牛の消化器に対するプロバイオティクスを活用するなど、牛の健康も重視。非常に重要な視点であるが、日本の畜産業界は、抗生剤・抗菌剤を多用しており、EUの流れから遅れないよう取り組んでいくべきではないか。

(4)デジタル庁が定める情報システムの基本方針を踏まえた国研中長期目標の変更について
・最後に、事務局から、デジタル庁が定める情報システムの基本方針を踏まえた国研中長期目標の変更について報告した。


以上


お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究調整課総括班

代表:03-3502-8111(内線5810)
ダイヤルイン:03-3502-7399