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農林水産技術会議

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令和3年度第8回農林水産技術会議の概要

1.日時

  令和4年1月25日(火曜日)14時00分~16時10分

2.場所

  農林水産技術会議委員室及びオンライン開催

3.出席者

【農林水産技術会議】
小林会長、北岡委員、小松委員、内藤委員、二宮委員、松田委員

【農林水産技術会議事務局】
青山技術総括審議官兼農林水産技術会議事務局長、山田研究総務官、山口研究総務官 他

【国立研究開発法人】
原田農研機構NARO開発戦略センター長、山本国際農研理事

4.議事

(1)令和4年度予算概算決定について
(2)「みどりの食料システム戦略」技術カタログについて
(3)農林水産研究イノベーション戦略2022について(検討案)
(4)委員からの情報提供

5.概要

(1)令和4年度予算概算決定について
・事務局から、令和4年度農林水産関係予算の重点事項、技術会議事務局予算の概要及びみどりの食料システム戦略実現に向けた新たな政策の推進方向について説明した。これに対し、委員から以下の意見があった。
1)新たな税制がどれだけ農業従事者に役に立つのか。特別償却は、スピード感のあるビジネス分野で早く施設を償却したい場合に優位であると理解しており、農業機械のように長く使う機械を購入した場合にも当てはまるのか。
2)補助事業で機械を導入した場合でも、初年度に大きく償却した方が、後々の借入金の返済も含めて、農家にとっては優位になるのではないか。
3)大きな政策の変換の中、みどり戦略の実現に向け現場へのプロモーションは非常に大事だが、意識の醸成を図るには学校教育も同時に必要ではないか。また、欧米で行われているクロスコンプライアンスや環境支払については議論されているのか。

(2)「みどりの食料システム戦略」技術カタログについて
・事務局から、現場への普及が期待される技術をまとめた「みどりの食料システム戦略」技術カタログについて説明した。これに対し、委員から以下の意見があった。
1)今回は、農研機構等の公的機関が開発した研究成果を取りまとめたものであるが、第2弾以降は、これまでのスマート農業実証事業等で研究開発された企業等の成果も広く周知すべきではないか。
2)いろいろな技術が紹介されているが、現場への周知に当たっては、うまくパッケージングして示す、或いは勉強会や技術交換会を開くなど、これを普及させるための一層の工夫が必要ではないか。
3)技術のカタログ化が、研究者のインセンティブ(次の研究予算の獲得等)につながるような仕組みがあると良い。
4)農業者が簡単に使えるよう、データベース化して、キーワード検索で必要な情報を入手できるようにするなど、使い勝手の良いシステムにしていただきたい。

(3)農林水産研究イノベーション戦略2022について(検討案)
事務局から、農林水産研究イノベーション戦略2022の構成案等について説明した。これに対し、委員から以下の意見があった。
(食と健康)
1)食と環境に良い食料システムの構築において、今は地球の健康と人の健康が「ワンヘルス」のような考えになっているという背景を認識すると、サステナブルなヘルシーダイエット(2019)の考えは極めて重要であり、こういった国際的な視点と東京栄養サミットで議論されたジャパン・ニュートリションを組み合わせた非常に良い考え方、文章になっている。
2)今後、「国民のウェルビーイングの実現に主要な役割を果たす農林水産業」をどのように実現していくかについても議論していきたい。
3)コンビニ等に行くと、これ一つで食事摂取基準すべて満たしますよという商品が目につく。栄養素の塊のような食品ではなく、やはり、安心、安全、美味しさを追求した食の研究開発につながっていく戦略にするべき。
4)日本にはある種の誇るべき食文化があり、非常に多様な品種が残っており、またそれを楽しむ文化がある。これらがサイエンスと結び付くことにより、新たな方向性が示せ、日本の独自性も発揮できるのではないか。
5)最近の農業資材等の価格高騰は、農業者にとっては経営を継続できるかどうかの非常に大きな問題であり、こういったサプライチェーンのリスクを本文に記載することで、農業者が本戦略を読んだときに、研究のイノベーションの理解も進むと考える。
6)例えば半導体分野では、1990年代以降、日本は非常に厳しい立場にある。半導体の二の舞にならないよう、食料自給率をどのように維持していくのか、国として真剣に考える必要がある。

(カーボンニュートラル)
1)脱炭素の取組は重要だが、農業分野においてより重要なのは、窒素循環も含め、循環型の生産を実現するということであり、脱炭素だけを強調するのではなく、もっと幅広く記載すべき。
2)みどりの食料システム戦略を実現するには、消費者だけでなく、フードシステム全体の流通も含めた関係者全員の意識を上げ、システム全体でよりよい循環を作っていくことが重要。例えば、簡便なライフサイクルアセスメントを行うことで、農業者なり流通の人達が、どのような取組をすれば何にどれだけ貢献できるのかというのを、サイエンスによって示していくことができるのではないか。
3)技術開発という意味では、「研究活動スタート支援(若手研究スタートアップ)」という制度があるが、農業分野においても、イノベーションに新しい新規産業を起こす時に、どの省庁とどう連携しながら資金調達し、どう若者を集めていくかというのは重要。日本にも多くのファンドがあるので、それをどう呼び込んでいくのかについても、明確に戦略を考えてもいいのではないか。
4)金融機関が、カーボンニュートラルに寄与する技術開発に取り組もうとしている大学の調査を始めている。農業分野以外の他産業も意識したカーボンニュートラルの戦略を考えると、世界全体の企業価値向上に向けてどう貢献しているか、見える化ができるのではないか。

(4)委員からの情報提供
・小松委員から、リンゴを巡るいくつかの話題について情報提供があり、以下の意見があった。
1)果肉が赤いリンゴが世界中で栽培されているとのことだが、リンゴ農家にとって何が魅力なのか。また、普通のリンゴのように食されているのか。
2)種苗保護や商標登録に対する意識は、リンゴやブドウなど品種ごとに違うのか。
3)例えば、ニュージーランドのキウイの知的財産権はGメンによって取り締まられていると聞くが、リンゴに関してはどうか。
4)一度流出してしまった品種であっても、クラブ制においてしっかりと生産コントロールなり品質保持されることで、ブランド価値を高めることは可能か。
5)リンゴを世界に輸出することを考えた場合、どのような形質を持つリンゴが求められるのか。また、今後求められる品種はどういったものか。

以上


お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究調整課総括班

代表:03-3502-8111(内線5810)
ダイヤルイン:03-3502-7399
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