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農林水産技術会議

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令和3年度第5回農林水産技術会議の概要

1.日時

令和3年9月28日(火曜日)14時00分~16時20分

2.場所

  オンライン開催

3.出席者

【農林水産技術会議】
小林会長、北岡委員、小松委員、、瀧澤委員、内藤委員、二宮委員

【農林水産技術会議事務局等】
青山技術総括審議官兼農林水産技術会議事務局長、山田研究総務官、山口研究総務官  他

【国立研究開発法人】
白谷農研機構理事、小山国際農研理事長
坪山森林研究・整備機構、中山水産研究・教育機構理事長

4.議事

(1)令和4年度予算概算要求について
(2)みどりの食料システム戦略の推進と食料自給率等の関係について
(3)みどりの食料システム戦略の実現に向けた森林機構の取組方針について
(4)みどりの食料システム戦略の実現に向けた水産機構の取組方針について
(5)委員からの情報提供

5.概要

(1)令和4年度予算概算要求について
農研機構からの説明に関して、
・事務局から、令和4年度農林水産予算概算要求の骨子及び技術会議事務局要求の概要について説明した。これに対し、委員から以下の意見があった。
1)育種研究について、令和2年度補正予算で措置されたのは大いに歓迎するが、みどり戦略の実現において「スーパー品種の開発」は大きな課題であり、更なる予算的な措置が必要である。
2)公設試の研究員はSIPやPRISMに慣れてないので、これら制度に関する丁寧な説明が必要である。

(2)みどりの食料システム戦略の推進と食料自給率等の関係について
・事務局から、みどりの食料システム戦略の推進と食料自給率等の関係について整理・分析した内容を説明した。これに対し、委員から以下の意見があった。
1)フードロスに関する統計的な分析は難しいと承知しているが、輸入食品の一部がフードロスになっているのであれば、それを減らすことが食料自給率を高めることにつながるのではないか。
2)日本の種苗に関する知的財産権が海外に流出する中、工場を海外に移転すると同じ発想で、栽培方法や生産地の輸出という考えもあり得るのではないか。
3)カロリーベース自給率目標45%に向け、我々は主食としてこれから何を食べていくのかという疑問がある。飼料も輸入に依存しており、非常に心配。国民が米を含め健康的な食事を摂取する流れを仕掛けていくことが、国民の健康長寿に繋がると考える。
4)最近、垂直農業という言葉が盛んに議論されている。植物工場は環境負荷がほとんどないが、コスト面で克服すべき課題が多い。みどり戦略に「垂直農業」という言葉が出ていないが、今後自然エネルギー等の生産が低コスト化されれば、将来の安全保障、新しい農業のあり方も変わってくるのではいか。
5)国民の自給率への関心が低いことは問題。輸入食料に頼るのではなく、自分たちの食べるものは自分で作ろうという機運を高めていくことが大事。その上で、有機栽培で生産効率が下がるのであれば、スマート農業で効率性を高めるとともに、規格外の作物についても品質基準に対する消費者の意識が変えることで消費に回すことも可能になるのではないか。
6)定年退職後にUターンして就農することも今後増えてくると思うが、様々な経験を積んだ者が農業・農村に入ることにより、農業・農村に多様性が出てくることを期待したい。
7)消費者の支持を得るために脱炭素化の見える化を進めることが重要とあるが、現在の検討状況を教えて欲しい。

(3)みどりの食料システム戦略の実現に向けた森林機構の取組方針について
・森林機構から、みどりの食料システム戦略の実現に向けた同機構の取組方針について説明した。これに対し、委員から以下の意見があった。
1)2019年にリグニンのテストプラントを当会議において現地調査を行ったが、コスト面の課題はクリアできたのか。
2)リグニンの有効な利用法の一つとして車の外装への適用が紹介されたが、コスト面での課題はないか。
3)エリートツリーについて、自然災害への耐久性は検討されているのか。今後、災害に強い樹種への置き換えも必要になってくるのではないか。
4)建築基準法の観点で、住宅にはこれまでアルミサッシが多く使われてきたが、木材活用を拡大するには、関係省庁との連携が重要ではないか。
5)国産木材の利用拡大はカーボンニューにおいて非常に重要であるが、価格面での課題もあり、食料自給率の議論にも関連するが、やはり国民に意識改革が重要ではないか。

(4)みどりの食料システム戦略の実現に向けた水産機構の取組方針について
・水産機構から、みどりの食料システム戦略の実現に向けた同機構の取組方針について説明した。これに対し、委員から以下の意見があった。
1)2030年までに世界の海の30%を保護区に指定する「30×30」のような取組もあり、海外ではハッチ状に保護区をつくりそこをモニタリングしながら漁獲量を増やす研究が行われている。資源管理について、単にモニタリングするだけでなくもっと積極的に関与していく方法がれば教えて欲しい。
2)IUU漁業(違法・無報告・無規制漁業)対策は非常に重要と認識。国内漁船によるシラスウナギの密漁なども指摘される中、完全養殖以外にも技術開発によって別のアプローチによる対策も検討されると良い。
3)生分解性ポリマーやいわゆるマイクロプラスチックに関する研究について、工学部や理学部系統、樹脂メーカー等との連携は進んでいるのか。
4)海洋のブルーカーボンについて、高い二酸化炭素固定能を持つ海藻の開発を目標としているが、過繁茂して生態系を撹乱するリスクをきちんと評価しておく必要がある。


(5)委員からの情報提供
・二宮委員から、植物フェノミクスの現状と展望について情報提供があり、以下の意見があった。
・気候変動の文脈で見た場合、AI解析技術に対しどのようなことが期待されるのか。
・トマトの画像識別について、どの程度の速さで撮影機器は動いているのか。動画の画像解析技術は、どの程度開発が進んでいるのか。
・産地、品種、気候条件など地域条件に非常に差があるが、こういった手法を現場で活用することを考えた場合、ディープラーニング等、どのように対応されるのか。

以上

お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究調整課総括班

代表:03-3502-8111(内線5810)
ダイヤルイン:03-3502-7399
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