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農林水産技術会議

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肉用牛産肉形質のゲノミック評価技術及び評価実施体制の確立

一般社団法人家畜改良事業団  黒木一仁、荻野敦、野﨑隆義、渡邊敏夫
元一般社団法人家畜改良事業団  小野木章雄                                     

肉用牛(黒毛和種)の生産現場において個体の産肉能力を早期に把握することができれば、効率的な育種改良や優良牛群の整備、合理的な肥育等が推進できます。しかし、現行では個体の遺伝的能力が判明するまでには5年以上の期間を必要とします。また、全きょうだいの遺伝的能力の予測値は両親の平均となり、個体間の識別は不可能です。このような背景から早期に個体の遺伝的能力を把握し、全きょうだい間でも優良牛を選定する技術体系を構築することが切望されていました。

従来の遺伝的能力評価法(BLUP法)にSNP※情報を付加したssGBLUP法を用い、その有効性を検証しつつ、産肉能力のゲノミック評価(以下G評価)法の確立を図りました。G評価のために、評価に必要なSNP情報の取得法効率化、表現型データ、血統データを取得するための大量のサンプルを効率的に処理するシステムを開発しました。評価の信頼度の検証は産肉成績記録4.8万頭、SNPデータ1.5万頭、血統記録41万頭を材料としてBLUPF90(量的遺伝学で用いられる統計ソフトウェア)が算出する標準誤差により信頼度を算出しました。その結果、BLUP法よりもG評価法の方が個体の遺伝的能力を推定する信頼度が高いことが証明され、開発された産肉能力のG評価は肉用牛の育種改良、優良雌牛の選定等に実用できるとの評価を得ました。

本ゲノミック評価は全国4.8万頭の産肉表現型データを用いており、信頼度の高い遺伝的能力評価が全国で利用可能です。このため、既に多くの県畜産試験場や県単事業による繁殖雌牛で活用されているほか、一般農家からの評価の依頼が増加しています。本技術の利用は、子牛の段階で、従来よりも高い信頼度で遺伝的能力を推定できることから、若齢段階での優良牛の選定、全きょうだいの優劣の識別、斉一性の高い牛群整備、遺伝的能力を活かした合理的な肥育など多くのメリットが認識され始めています。

全きょうだい4頭の遺伝的能力評価
全きょうだい4頭の遺伝的能力評価
:両親平均、:子のG評価結果
*両親平均は4頭ともすべて同じことに注意
BLUPでの信頼度とssGBLUPでの信頼度の比較
BLUPでの信頼度とssGBLUPでの信頼度の比較

 

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