このページの本文へ移動

農林水産技術会議

メニュー

遺伝子組換えカイコの作出および産業利用の高度化

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
生物機能利用研究部門  主任研究員  坪田  拓也     

このたび、平成30年度若手農林水産研究者表彰を受賞いたしました。大変な名誉であると感じると同時に、なお一層研究に邁進していかないといけないと身が引き締まる思いです。

カイコは大型の昆虫で、大量のタンパク質を生産する能力があり、遺伝子組換え技術を利用した検査薬・医薬品・化粧品等の生産の事業化が一部の企業で始まっています。また、蛍光色を発するシルク(蛍光シルク)を生産する組換えカイコの一般養蚕農家での飼育が2017年に開始され、事業化に向けた取り組みが進められています。カイコの産業利用をさらに推進するためには、遺伝子組換え技術の高度化が必須です。

私たちは、カイコに導入した遺伝子の発現を自在に制御するための「プロモーター」を特定し、組換えカイコの簡便な判別等を可能にしました。また、標的ゲノムへの正確な遺伝子挿入(ノックイン)の高効率導入系を構築し、医薬品等の有用タンパク質生産量の劇的な向上に寄与する技術を開発しました。さらに、大量の絹タンパク質の合成を行う組織である絹糸腺で遺伝子の発現が制御される仕組みを明らかにし、有用タンパク質生産の効率化に貢献しました。これらの成果は、いずれも組換えカイコの作出およびその利用技術を高度化するもので、カイコの産業利用のさらなる推進を可能にするものです。


わが国ではかつて養蚕・蚕糸業が盛んで、2014年に世界遺産に登録された富岡製糸場に象徴されるように、近代日本の発展を大きく支えてきました。しかしながら、現在養蚕・蚕糸業はほぼ絶滅に近い状況にあります。遺伝子組換えカイコは、このような状況を打破するための切り札と期待されており、組換えカイコを用いた新たな産業の創出(蚕業革命)に向けた取り組みが強力に進められているところです。今回の受賞はその流れに乗ったものであると感じており、今後もカイコの高度利用のための研究をさらに強力に推進していきたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

写真 カイコの幼虫
カイコの幼虫

お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究企画課

担当者:戦略的実装班
代表:03-3502-8111(内線5847)
ダイヤルイン:03-3502-7407
FAX番号:03-3507-8794