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農林水産技術会議

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砂漠化抑制と収量増加をともに実現する省力的技術の開発

国立研究開発法人国際農林水産業研究センター  研究員  伊ヶ崎 健大  

最貧国が集中し、食糧不足が慢性化している西アフリカ(人口3.6億人)の北部では、依然として風による土壌侵食(写真参照:強風で表層土が削られて土壌の肥沃度が低下する現象、風食と呼ぶ)を主要因とする砂漠化が進行しており、食糧不足の一因となっています。また、この食糧不足と貧困が若者のアルカイダ系組織やボコハラムへの参加を促しているとも言われています。

この問題を解決するため、本研究では、(1)まず新たな風食測定装置の開発およびその装置を用いた圃場試験により、風食の砂漠化メカニズムを解明しました。(2)次に、このメカニズムに基づき、「耕地内休閑システム」(図参照)という新たな技術を開発し、その有効性を実証しました。「耕地内休閑システム」は、簡単に言えば、従来は別々の場所にあった畑と休閑地の配置を工夫するだけで風食を70%以上抑制でき、かつ作物収量を36-81%向上できる技術です。従来の風食対処技術が現地の人々に新たな負担を強いるためほとんど採用されていない現状を踏まえ、本技術の設計に当たっては、現地の人々の実施可能性を第一に考えました。また、従来の土壌保全技術は「守りの発想」、つまり作物収量を“低下させない”ことを目標に開発がされてきましたが、本技術の完成により、「攻めの発想」、つまり作物収量の増加を通して現地の人々の実施可能性を高めるという視点で技術を開発する道が開かれました。(3)最後に、本技術の最適な普及方法が、従来の住民参加手法ではなく、住民同士のコミュニケーションを通じた技術導入であることも明らかにしました。

現在は、この「耕地内休閑システム」が西アフリカの南部で雨による土壌侵食(水食)の対処技術としても有効かどうか検証をしています。

今後は、国際協力機構(JICA)、現地NGO、各国の農業省、西アフリカ開発銀行などと連携しつつ、広域的な普及事業を展開することで、西アフリカにおいて砂漠化への対処、食糧不足の解消、また社会情勢の安定化に貢献したいと考えています。 末筆ながら、時に気温が46℃を超え地面が70℃近くになる中、一日6Lの水を飲みつつ一緒にフラフラになりながら調査をして下さった共同研究者の皆様に、この場をお借りして深謝いたします。

風食を引き起こす嵐

                                            写真  風食を引き起こす嵐
見た目は上空が派手であるが、飛散している土壌のほとんどは地面から高さ10cmまでの地面すれすれを転がって移動して
いる。

「耕地内休閑システム」の概要

                                        図  「耕地内休閑システム」の概要
ほぼ“何もしない”ことで実施できる、つまり経済面でも労働力面でも余裕のない現地の人々に負担を与えない点がポイント
である。

お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究企画課

担当者:戦略的実装班
代表:03-3502-8111(内線5847)
ダイヤルイン:03-3502-7407
FAX番号:03-3507-8794

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