民間部門農林水産研究開発功績者表彰
平成26年度(第15回)農林水産大臣賞 業績概要
柴田 満穂 氏
大坪 和光 氏
豊田 活 氏
佐竹 由式 氏
株式会社 明治研究本部 技術開発研究所
業績の概要
背景
粉ミルクは専用スプーンで所定量を計量して哺乳瓶に入れ、これに温水を加えて撹拌溶解して使用されるが、使用者からはスプーンでの計量時の粉こぼれ、計量数の数え間違え、持ち運びなどの不便さが指摘されていた。このような問題を解決し、育児のストレスを解消するためには粉ミルクを固形化することが有効である。粉ミルクを固形化するアイデアは古くからあったが、実用化された例は世界的にもなく、製造法と衛生的に大量生産できる製造設備の開発に取り組んだ。
研究内容・成果
原材料、組成はそのままで、添加剤などを一切使用することなく、実用的な溶解性(粉ミルクと同等、10秒間程度の撹拌で溶解)と輸送中の保形性という相反する性質を両立させることに技術的な高い障壁があった。様々な検討の結果、粉ミルクを低い圧縮力で成形した後、得られた成形体の表面を加湿および乾燥する製造法で、成形体表面付近の粉ミルクの一部が溶解して粒子同士の架橋を形成して保形性を高め、一方、成形体の内部は水の浸入路となる間隙を充分に確保して溶解性を高めることが可能となった。
普及状況
出生数の低下などで国内の粉ミルクの生産量は減少の一途を辿っている。しかし、固形化粉ミルクは従来からの缶入り粉製品と比較して重量換算で40%程度高い実勢価格にも関わらず、その利便性が認められて普及が進んでおり、市場占有率は平成25年度で9.6%に至っている。
固形化と溶解性を兼ね備えた固形化粉ミルクの大量製造方法の開発により、衛生的で利便性に優れた製品が商品化され、母親の就労や家族の子育て支援の一助になっていることを高く評価した。
連絡先
(株)明治 研究本部 技術開発研究所
住所:〒250-0862 神奈川県小田原市成田540
TEL:0465-37-3661