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農林水産技術会議

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民間部門農林水産研究開発功績者表彰

平成28年度(第17回)農林水産大臣賞 業績概要

コンテナ収容式キャベツ収穫機の開発

丸山 高史 氏

長田 秀治 氏

キャベツ収穫機 開発グループ 代表(ヤンマー株式会社/オサダ農機株式会社)

業績の概要

背景

キャベツは農業産出額で1,000億円(平成26年)に達し、国民生活に欠かせない主要野菜である。近年の需要は加工・業務用が家計消費向けを上回り、不足分は輸入に頼っている状況にある。一方、生産現場では10アール当たり8トンにもなる収穫作業の労働時間は全体の30%を占めており、規模拡大や生産コスト低減を図るためには、キャベツ収穫機の実用化が不可欠である。この課題に対して、高性能農業機械等緊急開発事業(「緊プロ事業」)を受けて、長年にわたって収穫機の改良が進められてきた。

研究内容・成果

緊プロ事業で3次にわたり課題化された成果を基に、ヤンマー(株)、オサダ農機(株)が生研センター(現農研機構農業技術革新工学研究センター)の協力を得て実用機を完成させた。開発したキャベツ収穫機は、切断精度を向上させるためにキャベツの姿勢制御機構及び茎高さを揃えてカットする機構を備え、クローラ(履帯)式の走行部を持ち、国内初の機上選別調製作業・大型コンテナ収容方式を採用した。これにより、収穫作業の労働時間の40%削減と軽労化、出荷経費の30%削減を実現するとともに、モーダルシフト(鉄道・船舶輸送への切り替え)にも対応できる仕様となっている。

普及状況

本機は、高性能農業機械実用化促進事業の対象となっており、総合農機メーカー4社が販売を表明している。現場では大規模生産者を中心に本機に対する関心は高い。エンジンの排ガス規制強化に伴う生産制限があったものの、当初目標としていた50台に対して、53台(受注済みを含む)の普及に至っている。平成28年現在、排ガス対策の完了と取り扱いメーカーへの供給体制が整ったことを受け、本格的な普及が始まっている。

評価のポイント

本機は、長年の研究開発の蓄積を踏まえて改良を重ね、キャベツの刈取り・選別調製・大型コンテナへの収納を機上で一貫してできる高能率のキャベツ収穫機である。これにより、収穫に要する労働時間の削減、軽労化、段ボール等の資材費の低減が達成できたことを高く評価した。

連絡先

ヤンマー株式会社

住所:〒530-0014 大阪市北区鶴野町1-9

TEL:06-6376-6330

公益社団法人 農林水産・食品産業技術振興協会のサイト