民間部門農林水産研究開発功績者表彰

業績の概要

背景

口蹄疫は非常に大きな経済的被害を引き起こす家畜疾病であり、国際的に最も重要な家畜伝染病の一つとされている。国内では2010年に宮崎県にて発生し、その際の被害は家畜の殺処分が牛・豚合わせて約30万頭近くにも及び、多大な被害をもたらした。口蹄疫は国境を越えて容易に伝播する動物疾病として知られ、日本の周辺諸国では今なお発生し続けており、国際的な人の行き来や物流網の発達などからも、日本への侵入の危険性は高まる一方である。国の定めた防疫指針においても、早期に発見し、移動制限など迅速かつ的確な初動防疫対応を取ることが重要であるとされている。このため事象発生時に農場等の現場でも使用可能な簡易・迅速な検査法の開発が望まれていた。

研究内容・成果

農場等の現場にも簡単に持ち込め、使用法も簡易で目で見るだけで結果が得られる高感度化したイムノクロマト法による診断キットの開発・製品化に成功し、動物用体外診断用医薬品として製造販売承認を得ることができた。また、「口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針」にて、各都道府県の家畜防疫員が異常家畜の発生した現場の農場にて本キットを使用できる旨記載され、日本国内での口蹄疫に対する初動防疫、拡大阻止に大いに役立つと期待される。
＊2社と農研機構動物衛生研究部門との共同開発による

普及状況

2019年度より今回開発した検査キットを製造・販売している。2019年9月に改正された口蹄疫に関する防疫指針への本キットの記載を受け、各都道府県畜産主務課、都道府県家畜保健衛生所、農林水産省動物検疫所に供給され、口蹄疫の発生に備えるべく国内全域に普及している。