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農林水産技術会議

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民間部門農林水産研究開発功績者表彰

令和元年度(第20回)農林水産大臣賞 業績概要

日持ちと輸送性に優れたトルコギキョウ品種の開発

森 一俊 氏

サカタのタネ

佐瀬 昇 氏

佐瀬農園

堀内 慎吾 氏

サカタのタネ

西尾 章 氏

サカタのタネ

業績の概要

背景

トルコギキョウは現在、国内切り花の生産額で4位の重要品目である。夏の花ではあるが、昨今の暑さの中で日持ちがよく輸送性に優れ、より観賞価値の高い品種開発が求められている。一般的に花き類では柱頭に花粉が付着し受粉すると花の老化が進み、日持ちが短くなることが報告されている。成熟しても受粉しにくい構造の雌ずいをもつトルコギキョウの開発、また雄性不稔化(無花粉化)することにより、本課題を解決することができると考えた。

研究内容・成果

佐瀬氏は柱頭が開かず受粉しにくい変形雌ずいを有する個体を作出し、後に「変形雌ずいを有するユーストマとその育種方法」として特許登録した。一方、サカタのタネは世界初となる雄性不稔を利用した花粉の出ない品種を開発し、従来同タイプの品種と比べ約1週間日持ちが長く輸送性に優れ、さらに花弁の汚れによる切り花価値の低下を改善することに成功した。変形雌ずい系や雄性不稔系を利用し、多様な花型、花径、適応作型の異なるトルコギキョウの開発が可能になり、国内だけでなく世界のトルコギキョウ消費拡大に大きく寄与した。また、世界の花き業界における日本の技術開発力をアピールすることができた。

普及状況

本成果にて開発されたアンバーシリーズ、PFソロシリーズをはじめ、共同研究で開発されたボヤージュシリーズ、レイナシリーズは、国内だけでなく欧州、北米やアジアでも販売され、大きなマーケットシェアを獲得している。

評価のポイント

本業績は夏の花であるトルコギキョウを対象に、成熟しても受粉しにくい構造の雌ずいと雄性不稔化を特徴とする品種を開発することによって日持ちの改善と観賞価値の向上を達成したものである。これらの品種は、国内だけでなく欧州、北米やアジアでも販売され、日本の技術開発力をアピールするとともに高い評価を得ている。

連絡先

株式会社サカタのタネ  研究本部

住所:〒224-0041 神奈川県横浜市都筑区仲町台2-7-1

TEL:045-945-8855

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