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農林水産技術会議

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民間部門農林水産研究開発功績者表彰

平成30年度(第19回)農林水産大臣賞 業績概要

「密苗」栽培技術による田植作業の革新的省力・低コスト化の実現

伊勢村 浩司 氏

ヤンマーアグリ

土井 邦夫 氏

ヤンマーアグリ

澤本 和徳 氏

ヤンマー

佛田 利弘 氏

ぶった農産

濱田 栄治 氏

アグリスターオナガ

業績の概要

背景

稲作の低コスト化技術としては、直播栽培、疎植栽培、乳苗育苗などの技術開発がこれまで行われてきたが、苗立ち性が不安定であったり、収量が減収するなど、十分に普及しているとはいえないのが実情であった。また、水稲生産の各工程において、コスト削減技術が求められているが、特に、播種、育苗、本田整地、移植を行う春作業期は最も過密繁忙で労働ピークである。作業別労働時間の約 0%は育苗、田植えに関わる作業で占められており、これが規模拡大の制限要因にもなっており、 これらの課題への解決策が求められていた。

研究内容・成果

密苗栽培は、育苗トレイに稲種子を高密度で播種し、その苗マットを細かく掻き取る事で育苗マット数を削減する手法であり、(1)高密度播種・育苗のソフト技術、(2)精密掻き取り・高精度移 植するハード技術により、慣行法と大差無い管理方法で、革新的な省力化、低コスト化を実現した。

(1)ソフト技術:従来の播種密度が100~150g/箱であるのに対して、250~300g/箱の高密度 (密苗)で播種。育苗期間は15~20日と慣行法と比べて約1週間ほど短く、施設稼働率が高い。

(2)ハード技術:高密度の育苗マットから専用の爪により小面積(慣行の約01月03日)を正確に掻き取り、慣行同様1株当り4本程度の精密な移植を実現。また植付け土壌の硬軟をフロートとレーキセンサーでセンシングする『感度アシスト機能』により、苗1本当りの根土が少ない密苗も、浮き苗や転び苗を発生させずに、安定した植付けを実現した。

普及状況

平成27年から本格的な普及を開始し、平成30年度見込みで栽培面積約24,000ha(技術開発~ 約4年間での実績)国内では北海道から九州まで地域を問わず普及し、作付品種も50品種以上の実績を積んでいる。また海外でも韓国で密苗キット販売を開始、更に中国、ベトナムでも実証試験を開始している。

評価のポイント

水稲の移植栽培において、育苗トレイに稲種子を高密度で播種し、その苗マットを細かく掻き取ることで育苗マット数を削減する「密苗」栽培技術を開発し、田植作業の革新的な省力化、低コスト化を実現した点を高く評価した。

連絡先

ヤンマーアグリ(株) 経営企画部

住所:〒530-8311 大阪府大阪市北区鶴野町1-9

TEL:06-7636-9345

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