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農林水産技術会議

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民間部門農林水産研究開発功績者表彰

平成29年度(第18回)農林水産大臣賞 業績概要

甘藷メリクロン苗供給システム確立等による甘藷農業の6次産業化

尾曲 修二 氏

アネット有限会社

業績の概要

背景

甘藷生産量は、飼料用、澱粉用の利用減少等により、現在は約80万トンにまで激減している。今後は、健康志向等現下の消費者ニーズに対応して新たに育成された青果用・焼酎用・加工食品用品種の生産拡大が求められている。そのためには、甘藷生産で最大の問題であるウイルス病克服のための栽培技術と加工利用技術の開発が喫緊の課題である。

研究内容・成果

農研機構や公設試等の育成品種の利用許諾を受けた約50品種について、品種ごとのメリクロン培養条件の最適化および独自の作業手法を確立し、ハウス内におけるウイルスフリー苗の低コスト安定増殖技術の基盤を確立するとともに、プラグ・ポット・切苗の全国の甘藷産地への供給システムを確立した。また、甘藷を原料に甘藷若葉茶・スポーツハイブリッドサプリ・サツマイモフレーク・サツマイモ煎餅・芋麹用乾燥ダイス(甘藷100%焼酎の製麹用原料)などの新商品開発を行い、一部の加工食品については有機JAS認証取得による高付加価値化を図るなど、自らが経営する農業生産法人の6次産業化による経営安定化に取り組んだ。

普及状況

甘藷メリクロン苗の供給先は、生産農家や団体等に加えて、ネット販売を通じた一般消費者・保育園・学校や園芸店・ホームセンターにも広がっている。苗の出荷量は、平成28年度は76万本の実績、平成29年度は150万本を見込んでいる。加工利用面では、焼酎会社で品種ごとの商品化が進み、その対象は十数種類に及ぶ。また、加工用原料素材のペースト・粉末・乾燥チップ等の取引も増えており、各地で6次産業化・農商工連携の動きが活発化している。

評価のポイント

品種ごとのメリクロン培養および母株保存条件の最適化等、ウイルスフリーのメリクロン苗の低コスト安定生産・供給システムを開発し、約50品種の甘藷メリクロン苗を販売するとともに、甘藷の加工食品等を開発し、6次産業化にも積極的に取り組んでいることを高く評価した。

連絡先

アネット有限会社

住所:〒893-0021 鹿児島県鹿屋市東原町2869-1

TEL:0994-44-4415

公益社団法人 農林水産・食品産業技術振興協会のサイト