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農林水産技術会議

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民間部門農林水産研究開発功績者表彰

平成28年度(第17回)農林水産大臣賞 業績概要

連続的加熱成形による水産練り製品の製造

吉富 文司 氏

水城 健 氏

橋立 知典 氏

日本水産株式会社

業績の概要

背景

水産練製品の需要は年々低下し、近年、魚肉ソーセージの生産量は約5.4万トンと最盛期(1972年)の約01月03日以下となっている。これは、市場に競合や代替製品が豊富に供給され、消費者の選択肢が増えたことに加えて、メーカーが消費者ニーズの変化に十分に対応してこなかったためでもある。そこで、最新技術を応用し、消費者・生産者・社会にもメリットのある技術開発に取り組んだ。

研究内容・成果

水産練製品の製造における加熱工程は非常に重要であるが、その機能にはタンパク質の加熱ゲル形成性による「成形」がある。従来の成形工程は加熱工程の前にあり、予め所望の形状に成形したり、ケーシング(内装フィルム)等に充填した後、加熱を行っていた。一方、本技術は、垂直に立てたチューブの中を練肉が上方に送られる途中で、マイクロ波により加熱成形加工を行うことで、従来は難しかった成形工程と加熱工程を連続的に行うものである。 本技術の導入により、従来の製造工程に比べ、(ア)手順の簡略化や作業量の削減、(イ)製造原価の削減、(ウ)ケーシング等の不要化、(エ)品質の均一化、(オ)多品種少量生産への適応性拡大が実現できた。また、製品に関しては、(ア)ケチャップ等の二次素材を封入した多重構造化、(イ)二次加工適用性の簡便化、(ウ)付加価値の増大を図ることができた。

普及状況

本技術を利用した製品は、2010年の発売以来、競合品の登場はなく、カテゴリー内のシェアはほぼ100%である。業務用として惣菜、製パン、給食等で広く利用されている。市販用としては、家庭用冷凍食品原料として、内部にケチャップを充填したアメリカンドッグ等の高付加価値品に寄与している。今後は、使用原料を水産物だけでなく、畜産物にまで広げ、技術の改良や普及を図りたい。

評価のポイント

水産練り製品の製造において、原料をチューブ内で垂直吐出しながらマイクロ波により内部から加熱することで、連続的な加熱成形を可能にし、ケーシング包装を必要としない画期的な製造技術を確立した。本技術によって、製品の高付加価値化と原価低減に貢献したことを高く評価した。

連絡先

日本水産株式会社 商品開発センター

住所:〒192-0991 東京都八王子市七国1-32-3(東京イノベーションセンター)

TEL:042-638-0463

公益社団法人 農林水産・食品産業技術振興協会のサイト