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農林水産技術会議

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民間部門農林水産研究開発功績者表彰

平成27年度(第16回)農林水産大臣賞 業績概要

倍数体育種技術を活用したリンドウ新品種の育成

瀬戸 堯穂 氏

瀬戸 啓一郎 氏

有限会社 スカイブルー・セト

業績の概要

背景

リンドウは日本の山野に自生する植物である。花が美しく観賞性に優れる野草であるが、園芸花きとしては生産されていなかった。野生種の花色は青紫色に限定されていたことから、園芸品種として普及させるためには多様な花色の品種育成が必要とされていた。また、自殖弱性の性質を有することから、F1品種の開発も必要とされていた。このように、花きの需要拡大を図るためにも、画期的な営利生産用のリンドウ品種の育成が期待されていた。

研究内容・成果

世界で初めて3倍体のリンドウ品種を育成した。3倍体のリンドウ品種は、バイオテクノロジー技術を活用し、4倍体品種から育成した。3倍体品種は花が大きく、茎葉のバランスが良く観賞性に優れている。また、結実しにくいため日持ちが長いだけでなく、交配に利用できないため、品種の保護にも有用である。さらには、多様な花色を有し花形にも新規性のある、観賞性に優れた一代雑種品種も多数育成した。こうして開発された品種は組織培養により増殖し、形質の安定化を図った。これまでに登録した品種数は87品種に達している。国際的にも高く評価されており、フロリアード(国際園芸博覧会)において多数の品種が金賞を受賞するなど、今後の輸出拡大への貢献が期待される。

普及状況

国内市場において、育成した品種は約25%のシェアを占めており、これらの品種は秋田県、山形県などリンドウの新興産地に導入され、地域の生産振興に貢献している。倍数体化育種技術という新しい育種方法のリンドウへの適用に成功したことにより、リンドウの育種手法の可能性を大きく広げることができ、現在、岩手県をはじめリンドウの育種現場で本技術の応用が進んでいる。

評価のポイント

先駆的なリンドウ育種家として、倍数体育種技術を活用して優れた特質を有する3倍体品種の育成に世界で初めて成功し、花き市場の拡大とリンドウ産地の発展に貢献していることを高く評価した。

連絡先

瀬戸 啓一郎

住所:〒399-4601 長野県上伊那郡箕輪町中箕輪11260-2151

TEL:0265-79-0203

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