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農林水産技術会議

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耕作放棄地で省力・低コスト生産

 

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黒毛和種(黒毛和牛)は、日本の和牛品種で、肉のキメが細かく、筋肉内に脂肪が白い霜のように入り(このため霜降り牛肉と呼ばれます)、とても柔らかい牛肉として国際的にも知られています。黒毛和牛の生産農家には、子牛を生産する「繁殖農家」と子牛を買って成牛に育てる「肥育農家」があります。

繁殖の役目を終えた経産牛

繁殖農家が飼育する繁殖雌牛(母牛、経産牛)はおよそ1年に子牛を1頭出産し、10年ほどで繁殖の役目を終えます。繁殖の役目を引退した経産牛の肉は高級な霜降り牛肉にはならないため、以前は人気がありませんでした。しかし、最近では赤身牛肉を好む消費者も増えていることから、繁殖の役目を終えた経産牛を放牧で仕上げて赤身牛肉を生産する取り組みを農研機構・西日本農業研究センターと島根県中山間地域研究センターが共同で始めました。

増加する耕作放棄地で放牧

国内では農家の高齢化に伴い、耕作放棄地が中山間地域を中心に増加し、全国で40万ヘクタール以上に上ります。耕作放棄地は、そのまま放置すると景観が悪化し、イノシシなどの獣害の温床になります。また、将来的に農地が必要となった場合、再開が困難になります。

そこで、島根県大田市内の二つの放牧組合で、黒毛和種経産牛を耕作放棄地に放牧し、牛肉を生産する取り組みを始めました。この取り組みのメリットは、(1)牛が野草を食べてくれるので草刈りの必要がなく、エサ代もほとんどかからないこと(2)毎日の作業は放牧牛の監視だけで、人手がかかるのは他の耕作放棄地に移動する時だけである、ということです。生産された黒毛和種経産牛は「放牧仕上げ熟ビーフ(略称=熟ビーフ)」として商標登録しており、ヒレやロースなどの高級部位はレストランなどの飲食店で提供され、その他の部位はスライス肉としての販売や加工品の開発を行っています。

耕作放棄地の活用に貢献しつつ、高齢の農家にも優しい省力・低コストで生産する「熟ビーフ」に全国で取り組んでいただきたいものです。

 

 写真
三久須放牧組合での放牧
(家畜改良センター松本和典氏提供)

(絵:筒井 博子)

全国農業新聞[外部リンク] 2016年10月28日に掲載されたものを再編集

お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究調整課

担当者:広報班
代表:03-3502-8111(内線5847)
ダイヤルイン:03-3502-7407
FAX番号:03-5511-8622

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