このページの本文へ移動

農林水産技術会議

メニュー

タイトル

ロール状だから急斜面でも楽

 

 漫画

棚田は日本の伝統的な里山の風景になっています。田んぼに水が入り、周りの山などの風景が水面に映える風景は目を見張るものがあります。田んぼの水は、四方に土を盛り上げた畦(あぜ)によって蓄えられています。この畦のことを畦畔(けいはん)と呼んでいます。農家の方々は、田んぼの水を出し入れするだけでなく、畦畔に雑草が増えないよう日頃から草刈りを行い、稲の成長を見守っています。
畦畔の草刈りは、夏の暑い時期にはとてもつらい作業です。とりわけ過疎化が進んだ里山では、少ない人数で作業を行わなければなりません。また急傾斜地の割合が高い山間地域では滑落などの危険性も高まります。
このような草刈りの負担を和らげるため、畦畔に芝が植えられています。芝は地面にはって成長するため、草刈りを行っても他の植物に比べて再生力が強く、雑草との生存競争に負けません。その結果、芝を植えることで毎年の草刈り作業を1回程度減らすことができます。背丈の高い雑草も生えにくくなり、各回の草刈りも楽に行えます。  

どうやって植えるの?

それではどのように芝を植えるのでしょうか?雑草を刈ったところに芝を植えても、雑草が先に伸びてしまって、芝がうまく育ちません。このため、まず雑草を取り除く処理を行います。具体的には、野焼きや除草剤によって以前の植生を取り除きます。その上に厚さ5センチ程度の土を入れます。土をかぶせることで多年生雑草の発生時期を遅らし、出芽が1センチから2センチ程度の雑草種子の出芽も抑制することができます。

二重ネット工法とは?

一般の芝張り工事は30センチ四方の芝生のマットを、置いていきます。従来からある方法ですが、傾斜が30度以上の急な斜面での作業には労力がかかります。その点を大幅に改良したのが、二重ネット工法です。芝の苗を木綿で編んだネットで挟み込み、それをロール状に巻いています。芝の苗とネットだけでできているのでとても軽く、持ち運びに便利です。芝の植え付けはロールを広げて、上から土を隙間に入れれば完成します。急な法面(のりめん)でも作業性が高く、少人数で施工できます。雑草の処理は前年の秋から、芝の植え付けは、梅雨時期の6月がベストです。

 

 写真
ロールを広げて作業
(農研機構提供)

(絵:筒井 博子)

全国農業新聞[外部リンク] 2016年7月22日に掲載されたものを再編集

 

お問合せ先

農林水産技術会議事務局研究調整課

担当者:広報班
代表:03-3502-8111(内線5847)
ダイヤルイン:03-3502-7407
FAX番号:03-5511-8622

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader