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農林水産技術会議

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優れた性質、遺伝子の有無で確認

 

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品種改良は大変時間のかかる仕事

動物や植物を含めて、生物は親とよく似た性質を持って生まれてきます。これを遺伝と言い、子が持つ性質は親から受け継がれる遺伝情報によって決まります。

稲や野菜、牛や豚など、私たちの生活に欠かせない農畜産物では、これまで、優れた性質を持つものを選んで親とすることを繰り返す品種改良によって、本来の野生種に比べると、育てやすくおいしい性質を持つ品種を数多く作り出してきました。しかし、この手法では、新しい品種を作り出すまでに、10年以上の歳月がかかることも珍しくありません。

品種改良を加速する「ゲノム育種」

生物が親から受け継いだ遺伝情報は、DNAと呼ばれる物質に四つの文字で書物のように記録されています。「病気に強い」や「おいしい」などの特徴はDNAの特定の部分に記録されていて、これを遺伝子と言います。

ある生物が持つすべての遺伝情報を、その生物の「ゲノム」と言います。今、いろいろな生物でゲノムが明らかにされて重要な遺伝子が特定され、その働き方などが調べられています。近年、これらの情報を利用する「ゲノム育種」という手法が開発されたことで、簡単に品種改良ができるようになってきました。

例えば、病気に強いものを選びたいとき、これまでの方法では、本当に病気に強いかは、大きく育て、病気にかかるかを調べたため、大変な手間が掛かりました。これに対し、ゲノム育種では、小さいうちに「病気に強い」遺伝子を持つものを選べるので、効率よく病気に強い品種の開発ができます。

また、ゲノム育種では、狙った性質の遺伝子だけが変わったものを選べるため、優れた特徴を持つ品種に、新たな性質をピンポイントで追加することも可能です。

生物の持つゲノムは非常に多くの情報を含んでいて、これまで、その解析には多くの時間が必要でした。しかし、コンピューターの性能が向上し、多くの情報を素早く扱えるようになり、これまで働きが分からなかった遺伝子が特定されたり、たくさんの遺伝子が関わる複雑な性質の改良にも取り組めるようになってきています。農作物のゲノムが品種改良に直結する時代になってきたのです。

 

写真  目的の遺伝子を持つものを選ぶ様子

(絵:筒井 博子)

全国農業新聞[外部リンク] 2016年1月29日に掲載されたものを再編集

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担当者:広報班
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ダイヤルイン:03-3502-7407
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