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農林水産技術会議

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温暖化に負けない、おいしいお米の誕生

 

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近年、温暖化の影響により、お米の品質が低下し、各地で大きな問題となっています。稲は、東南アジアでも作付けされているので暑さには強いと思われがちですが、実は人間と同じく夏バテしてしまいます。

玄米の高温登熟障害

稲は、穂が出て(出穂)、花が咲いた(開花)直後から約40日の間、光合成で作ったデンプンをもみ殻の内側にある玄米に詰め込んでいきます(登熟)。この登熟期間に気温が高すぎるとデンプンがうまく詰まらず、玄米が白く濁り、品質が低下してしまいます。この現象は、高温登熟障害と呼ばれています。

この白く濁った玄米は、見た目が悪いばかりでなく、ぬかを取り除き白米にするときに砕けてしまうこともあります。
生産現場では、田植えを遅くすることで出穂を遅らせ、登熟期間が高温に当たらないようにするなどの対策が行われていますが、十分な効果が得られていません。

このため、高温条件下でも白く濁った玄米のできにくい(高温登熟耐性)品種の育成・普及が各地で強く求められています。

温暖化に負けない品種の誕生

西日本においては、幅広く作付けされている品種「ヒノヒカリ」の高温登熟障害が問題となっています。このため、九州地方では、高温登熟耐性品種「にこまる」の普及が進んでいますが、中国地方にはこのような品種はありませんでした。

そこで、農研機構近畿中国四国農業研究センターは、さまざまな種類の稲を田んぼに植え付け、出穂・開花した直後から、その上にビニールハウスを設置することで人工的に高温条件を作り出し、その中から高温登熟耐性を持つ稲を選び出そうとしました。その結果、中国地方に適した高温登熟耐性を持つ稲を選び出すことに成功しました。

この品種は「恋の予感」=写真=と名付けられ、おいしいお米です。広島県で作付けが始まり、2017年度には広島県の稲作付面積全体の約20%もの作付けが計画されています。皆さんにとって身近なお米となりますので、ぜひ食べてみてください。

 

写真  恋の予感(農研機構近畿中国四国農業研究センター 提供)

 

(絵:筒井 博子)

全国農業新聞[外部リンク] 2015年4月24日に掲載されたものを再編集

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担当者:広報班
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ダイヤルイン:03-3502-7407
FAX番号:03-5511-8622

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