温室効果ガス減らす新しい豚のエサ
地球温暖化をもたらすガスのことを「温室効果ガス」と言いますが、畜産業からはこの温室効果ガスが多く発生します。有名なのは牛のゲップに含まれているメタンですが、豚のふん尿からもメタンや一酸化二窒素といった温室効果ガスが発生します。これらのガスは、地球を温暖化する能力が二酸化炭素に比べて数十~数百倍強いため、発生量を少なくする技術開発が求められていました。 エサからのアプローチ豚のエサには、肉のもとになる重要な栄養素であるアミノ酸が含まれています。しかし、肉にならなかったアミノ酸がふん尿中に排出され、そのアミノ酸に含まれる窒素が温室効果ガスの一酸化二窒素を作る材料になります。そこで、豚の成長に悪影響が出ないよう、アミノ酸のバランスを調整しつつエサに含まれる窒素量を少なくした、豚用の低タンパク質飼料を開発しました。このエサを豚に与えたところ、ふん尿中に排出される窒素量が減少し、その結果、ふん尿から発生する一酸化二窒素の量も約4割少なくすることができました。 広く利用されるために法律により、大きな事業所は温室効果ガスの排出量を削減する義務がありますが、温室効果ガス量を削減した人にお金を払って自分が削減したことにできる制度があります。豚用低タンパク飼料は、この制度の中で温室効果ガスを削減する方法の一つとして認められたことから、温室効果ガスの排出量を削減することで、農家は収入が増える可能性があるのです。今後、この制度のもとで、この技術が幅広く使われるようになることが期待されます。 (絵:筒井 博子) 全国農業新聞[外部リンク] 2013年3月29日に掲載されたものを再編集 |
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