微生物の力でより環境に優しい農業を
農作物の栽培には、畑を覆って雑草を防いだり、地面の温度を維持するマルチフィルムが欠かせません。普通はポリエチレン製のものが用いられていますが、使用後はゴミになるため回収・処分する必要があります。今回は、このマルチフィルムの処理に微生物の力を活用するお話です。 生分解性プラスチック生分解性プラスチック(生プラ)とは、微生物によって分解されるプラスチックです。生プラで作ったマルチフィルムなら、使用後そのまま畑に埋めれば、土中の微生物によって水と二酸化炭素に分解され、ゴミも出ません。このため、生プラ製マルチフィルムがだんだんと使われるようになってきました。ところが、埋める場所やその時の天候によってうまく分解されない場合があることがわかり、これをどうやってきちんと分解させるのかが問題となりました。 微生物の活用で生プラを効率よく分解この問題を解決するため、微生物の作り出す酵素で生プラ製マルチフィルムを分解する方法を研究することにしました。研究の結果、稲などの葉の表面にいる微生物(酵母やカビの仲間)が優れた分解酵素を作ることを発見しました。さらに、この酵素を生プラ製マルチフィルムに散布すると、フィルムが急速に分解され、一日でバラバラになることもわかりました。現在、この酵素の大量生産など実用化に向けた研究を行っており、これが広く使われるようになれば、より環境にやさしい農業になります。 (絵:筒井 博子) 全国農業新聞[外部リンク] 2013年2月22日に掲載されたものを再編集 |
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