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農林水産技術会議

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未利用資源である磯焼けウニの食品としての健康機能解明と蓄養技術開発

年度
2018
ステージ
発展
分野
水産(養殖)
適応地域
全国
キーワード
ウニ、磯焼け、抗肥満作用、人工餌料開発、高付加価値化
課題番号
27018B
研究グループ
北海道大学、熊本県立大学、産業技術総合研究所、
北海道情報大学、(株)北清
研究総括者
北海道大学大学院水産科学研究院 浦 和寛
研究タイプ
重要施策対応型
研究期間
平成27年~29年(3年間)
PDF版
未利用資源である磯焼けウニの食品としての健康機能解明と蓄養技術開発(PDF : 1007.5KB)

1 研究の目的・終了時の達成目標

磯焼け域に生息するウニは餌となる海藻が生育していないことから低品質な生殖巣を持つウニがその大半を占めており、商品価値がないため漁獲対象になっていない。また、磯焼け域のウニが放置されることが、磯焼け域の更なる拡大の要因となっている。そのため、磯焼けウニを用いた経済性の高い利活用技術の開発が必要である。本研究では、1.ウニ生殖巣が持つ健康機能性解析およびヒト介入試験食品の作製 2.新規ウニ養殖技術の開発および実証試験 により磯焼けウニの高付加価値化技術と共に新規ウニ養殖技術を開発することを達成目標とする。

2 研究の主要な成果

(1) ヒト核内受容体レポーターアッセイ系を用いた解析により、ウニは抗肥満作用に関わるアラキドン酸、EPA、DHA等に加えてcis-バクセン酸など機能性脂肪酸類を豊富に含有することを明らかにした。また、抗炎症成分として注目されるフラン脂肪酸も豊富に含有することが分かった。

(2) 磯焼けウニの生殖体指数は低く可食部が少ないものの、主要卵黄タンパク質(MYP)やDHAなどの有用成分の組成は通常ウニとほぼ同じであることが明らかになった。

(3) マウスを用いた動物実験では、磯焼けウニや通常ウニに抗肥満作用および腸内環境改善機能が認められた。

(4) ヒト試験では抗肥満作用は確認できなかったが、腸内環境改善作用が確認できた。また、女性群においては、血中脂質改善作用が認められた。

(5) 低コスト人工餌料を用いた新規ウニ養殖技術を開発し、磯焼けウニの高品質養殖を可能にするとともに、海洋での実証実験に成功した。

(6) DHAなど特定の有用成分を強化したウニ(ブランドウニ)を養殖するためのウニ用人工餌料を開発した。

3 今後の展開方向

(1) 国内各地で認められる磯焼け海域で新規ウニ養殖技術を普及させ養殖ウニを海外へ輸出する。

(2) ウニが持つ抗炎症作用を明確化し、更なるウニの高付加価値化を図る。

【今後の開発・普及目標】

(1) 2年後(2019年度)には人工餌料の常温流通化を実現する。

(2) 5年後(2022年度)は、難治性疾患の緩和など新規健康機能を明らかにし、より高付加価値化し養殖ウニを海外への輸出を展開する。

(3) 最終的に普及すると養殖ウニ生産額は140億円となり、磯焼けが改善され国内の沿岸漁業の漁獲額は3000億円の増額が見込まれる

4 開発した技術・成果の実用化により見込まれる波及効果及び国民生活への貢献

(1) 磯焼けウニという新規漁獲物の獲得と、新規養殖業の創出によるウニの漁獲高の向上が望める。さらには、磯焼け海域からウニを排除し磯焼けが改善されることで沿岸漁獲高の回復も見込まれる。

(2) 新知見であるウニが持つ抗メタボリックシンドローム作用により、美味しいかつ食べて健康になる新しい食品を提供し、国民の生活習慣病予防による医療負担軽減が期待される。

この研究成果を活用しませんか?

この研究に関するご相談や質問等は、以下よりお問い合わせいただけます。

浦 和寛

E-mail:kazu[at]fish.hokudai.ac.jp
[at]を@に置き換えてください。
TEL 0138-40-8850

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